2020/02/28

バルブタイミング実測調整



81FXS様 エンジンオーバーホール作業の続きです。
バルブタイミング実測調整です。
ハーレーのシングルカムのビッグツイン、ナックル〜エボリューション迄は全く同じ構造のキー溝無しのカムシャフトとカムギヤの圧入式です。
この構造が正確に組んだつもりでもバルブタイミングの誤差を大きく生む原因です。
4サイクルエンジンのカムシャフトはエンジン2回転で1回転します。
たったのφ27mmしかないカムシャフト圧入部にエンジン2回転720度の角度が存在する事になります。
そしてφ27mmの圧入部を720等分した1がクランク角度1°となります。
想像しただけでも繊細な事だとお分かり頂けると思います。
この構造故にクランク角で10°以上ずれている物も多く見かけます。
そして、自分はこのバルブタイミングこそがハーレーエンジンの“当たり” ”ハズレ“の差として語られる大きな原因の一つだと確信を持っています。
実際に過去に同じ仕様のエンジンを2基組んだ際に各部の仕上げ数値は揃えて組んであるにも関わらず、個体差を感じた際に、悩みに悩んだ末に個体差が生じるならここしか無いと思い実測した結果バルブタイミングに差が有り、修正後には納得できるイコールコンディションのエンジンに仕上がりました。
こう書くとエンジン不調の原因がバルブタイミングの狂いではないか?と頭を囚われしまうかもしれませんが、他が正常であって初めて疑える原因でもあります。
いきなりバルブタイミングを疑うのは修理のセオリーから外れます。
修理はネタじゃないし、旬なんて当然無いし、インスタ映えでもないです。
目の前の個体が抱える原因に向き合うだけです。
バルブタイミング特有の症状も存在しますのでエンジン不調でお悩みの方はご相談下さい。



GLORY ENGINEERING
神奈川県横浜市港北区新吉田町5331
TEL 045-620-2317

2020/02/27

ようやくゴールが見えてきました










81FXS様 エンジンオーバーホール作業の続きです。
ギヤケースまで来てようやくゴールが見えてきました。
毎年年始一発目のエンジンは開発を兼ねて組むからタップリ時間掛けます。 
GLORYの2020年仕様を仕上げて後はその仕様で組んでいきます。
気がつけば途中でアップデートも勿論あるんですけどね
2020仕様はブリーザー、カムギヤラッシュも合わせていきます。
ブリーザー、カムギヤラッシュ
ピニオン、カムギヤラッシュ調整
カムギヤエンドプレイシム調整、ブリーザーギヤエンドプレイ調整してようやく明日バルタイ調整に入れます。
ピストンピンブッシュのフライスでのボーリング加工、ギヤラッシュの測定ジグ、測定方法、ブリーザーギヤのダミーカムカバー製作しての実測調整、この後のバルタイ調整、その他書き出すとキリがないがこれらは全て自分が日々の作業の中での疑問に向き合った結果導き出したオリジナルです。
今日もコッソリ覗き見情報収集の同業者さん
まあマネされるって言うのは非常に光栄な事だが、旬な内容集中的にやってさもオリジナル面はダサいですよ
当然自分も諸先輩方から勉強させて頂いてマネして見習っている物もあります。
でもここ数年完全にそれを辞めました。
ある日気付きました
導き出した人間と人真似の間には決定的な差がある事に
俺のマネをしている間は絶対俺には勝てないから!
GLORYは今後共日々目の前の課題に向き合って、より良いエンジン、ミッション、シャーシ を仕上げる為に開発を進めていきます。



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2020/02/26

タペットブロック加工





81FXS様 エンジンオーバーホール作業の続きです。
81年特有のタペットブロックのオイル回収ラインを塞ぎ前後の年式と同じ経路に加工しました。
81、82だったか?だけで83以降は元に戻っているので、メーカーも必要無いかデメリットに気付いたのでしょう
そして、タペットブロッククリアランス計測、確認してタペットローラー交換です。
タペットローラーはエンジンオーバーホールの際には腰上オーバーホールでもフルオーバーホールでも無条件に交換しています。
そう高くない部品なのに、このタペットローラーが破損して小さなニードルベアリングがオイルに乗ってエンジン中を回ると正に悪夢の様な状態になりますので、無条件に交換しています。
連休明けの平日は何かと雑用が多く作業が捗りません。
ミニスカ ボインの電話受付のお姉さんと営業と発注担当立派な会社みたいにいれば、もっと捗るんですけどね。
なかなか難しいテーマです


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2020/02/25

ニュートラルスイッチ交換作業





09XR1200様 ニュートラルスイッチ交換作業です。
スプロケットカバー外せば半分位見えてるのであれやこれやと工具のオールスターでアクセスを試みましたが不可能でした。
ディーラーさんからも「プーリー外さないとアクセスできないですよ」
と聞いていたので諦めてプーリー脱着で交換しました。
ニュートラルスイッチ位はもうちょっと簡単に交換できる所に付けて貰いたいものです。
そして、フルエキゾースト 交換も御依頼頂いていたのですが、エキゾースト スタッド折れていました。
フロントバンクの下側は車載でのアクセスは難しそうです。
今日は春の陽気で納車が1台と御来店続きで賑わいました。
もうすぐ春ですね
ペースアップしていかないとですね!



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2020/02/23

本日もエンジンオーバーホール作業の続きです。



81FLH様 エンジンオーバーホール作業の続きです。
ピニオンシャフトベアリングレースの左右ケース共加工をした時の再現でピストン無しでシリンダー組み付け状態で左右クランクケース締結
今回からエンジン横向けた状態で組む事にしました。
想像してみて下さい
テーパーローラーにテーパーのベアリングレースが自重で芯出しされる所を
従来の方向で組めばクランクの自重がベアリングレース下方向に掛かります。
差は出ないでしょうが、良さそうでしょう⁉︎
そして仮想ブロックハイト合わせです。
ハーレーのV型エンジンの場合クランクケースのデッキハイトの計測は工作機械上では可能ですがセットと加工後の再計測にとても時間が掛かります。
なぜ仮想と言っているかと言うと
上死点位置のピストントップの高さ基準でブロックハイトの前後差を計測しているからです。
シングルキャブのハーレーの場合前後バンクの燃焼状態をできる限り均一にしてやる事でキャブレターのセッティングの際にスウィートスポットで取ることができます。
燃焼状態を揃えてやる為には圧縮比ではなく有効圧縮値をできる限り前後バンク近づけてやる必要があります。
逆に前後バンクの燃焼状態にバラツキが大きくなればなるほど、一つのキャブレターでセッティングで中間を取る事になるので薄いバンクと濃いバンクの差が開きます。
前後バンクの薄い濃いの差はこれ以外にもバルブタイミング、点火タイミングの可能性も有るので一概には言えませんが、大きな可能性の一つではあります。




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2020/02/21

エンジンオーバーホール作業の続きです








81FXS様 エンジンオーバーホール作業の続きです。
バルブガイドとシリンダーヘッド間からのオイル下がりが起こらないか確認
バルブガイドクリアランス計測
バルブシート擦り合わせ
バルブセット長確認
バルブスプリングセット長、セット圧、最大リフト圧合わせまでです。
OHV、OHCのロッカーアームのエンジンはバルブセット長=バルブの突き出し量もロッカーアームの作用角に影響するので重要です。
そして、バルブスプリングはセット長よりセット圧、最大リフト圧が重要です。
エンジンオーバーホール直後なのに、バルブセット長が異常な物、バルブスプリングセット圧が低過ぎる又はバラバラのエンジンを多々見ます。
特に旧車の場合ずっと現役では無く暫く眠っていた物などは、1箇所ないし2箇所が極端にスプリングレートが落ちている物があります。
バルブスプリングセット圧が低いのは勿論圧縮漏れの原因になるので問題外ですが、高過ぎるのもまたロッカーアーム、シャフト、プッシュロッド、リフター、カムの動弁系へのフリクション、ストレスが増大するので問題です。
必要に応じてシム調整、スプリング交換シム調整、リテーナー スプリング交換シム調整でセット圧合わせています。
御希望の方にはRACEspecでロワシート加工も含めより精密にセット圧合わせも対応できます。
4サイクルエンジンは面白いです。
何か一つで劇的に良くなる事は無く、全ての作業が必要不可欠でその積み重ねが差となって現れます。
それはチューンドで無くてもストックスペックのエンジンでもです。
エンジンライフにも当然影響します。
エンジンだけ良くてもシャーシの良くないバイクも最悪です。
バランスです!
バランスよくトータルで乗って楽しいのが一番です!



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2020/02/19

エンジンオーバーホールの作業の続き








81FXS様 エンジンオーバーホールの作業の続きです。
ボーリング、ホーニングの仕上がり寸法クリアランス確認計測
そして今回はピストンリングギャップ調整もダミーヘッド付きで調整してみました。
ダミーヘッド=トルクプレートはシリンダーのボーリングホーニング加工時にクランクケース、シリンダーヘッドに組み付け状況の歪みを再現して加工する為の物ですが、シリンダー、ヘッド組んで歪むという事はピストンリングギャップ調整もダミーヘッド付きで行った方が良いのではないか?と思っての試みです。
そして、エキスパンダーリング張力調整です。
このエキスパンダーリングが厄介で、張り過ぎずしっかり張って無いとオイル消費量が増えたり、逆に最悪焼き付く事もあり得ます。
ピストンリングは奥が深く難しいです。
ただ一つ言える事は自分はKEITH BLACKのキャストピストンは日本の旧車ユーザーの鍛造ピストンアレルギーも考慮した上でのストリートユーズでは最も理想的なピストンだと思っていますが、付属で付いてくるHASTINGSの化石みたいな張力頼りのピストンリングとは早くお別れしたいです。



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2020/02/18

エンジンオーバーホールの下準備


60 bonneville case様 スタッドボルト、ダウエルピン全抜きブラスト処理でオーバーホールの下準備です。
このエンジンはなにかと大変そうです。



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2020/02/17

フライホイール芯出し作業



81FXS様 エンジンオーバーホールの続きです。
ピニオンシャフトサイド、スプロケットシャフトサイドそれぞれ単体で芯出ししてからクランクピン組んでフライホイールアッセンブリーでの芯出しです。
独自の作業方法ですが各サイド単体で芯出しする理由は、特にピニオンシャフトサイドはピニオンシャフトエンドの振れが大きいとカムカバーのピニオンシャフトブッシュ内での抵抗が大きくなります。
逆の考え方だとピニオンシャフトエンドが振れていてブッシュのクリアランス内で振れが拘束されていれば、ライトケースベアリング側にストレス掛かります。
いずれにしてもよくないです
通常のフライホイール芯出し作業手順ではケースに納めて初めてピニオンシャフトエンドの振れが発覚します。
スプロケットシャフト、ピニオンシャフトベアリング部での芯出しだけではトゥルーイングスタンドで仮想センターを固定してしまっているのでピニオンシャフトエンドの振れは取れません。
セオリーからいけば無駄な一手間のようで重要な一手間だと思っています。
組みの精度でエンジンライフは左右します。
数年数万km先を見越して
全てはロングライフの為です。
今回の個体は元のコンディションも良かったのでしょう
左右1/100mm以下に収まりました。
いわゆる1000分代ってヤツです。



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2020/02/15

クランクバランス








81FXS様 エンジンオーバーホールの続きです。
コンロッド ロータリーウエイト計測、コンロッドサイドスラスト調整フライホイールワッシャー選定した上で、任意のバランスファクターで計算によって出した重量でダミーウエイト組んでスタティックバランス取りです。
左右でウエイトバランスの方向性が逆だったので、元穴をプラグ製作して穴埋めてバランス取りました。
クランクバランスについて何%がいいっていう議論は昔から続いていますが、自分は最先端の解析技術で結果が出ている方向性のバランス取りしています。
ライフ優先の方向性です
当然理想はマグネットローター、プーリー迄組み付け状態のダイナミックバランスです。
オールドモーターに現在の技術を取り込む事はチューニングという方向性でなくともライフの長いエンジンを作る方向性でもメリットが有ると思います。



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